第22章 亭主の好きな赤烏帽子
わたしも仕事に取り掛かる。
程なくして、小さな寝息が聞こえてきた。
サヘルくんの方を見れば、気持ちよさそうに眠りこけていた。
穏やかな寝顔にほっとする。
わたしは腰を上げ、サヘルくんの傍らに立った。
サヘルくんの顔を見下ろす。
形のいい唇、小さく整った鼻、閉じた大きめの瞳、綺麗な睫毛。
少し長めの髪も相まって、本当に女の子みたいだ。
先程見た艶やかな下着を着こなすモデルと重なって見える。
わたしは周囲を見回し、デスクからそろりとメジャーを手に取る。
「ン……」
サヘルくんの身体にあてがった。
✱
翌日の放課後、わたしはサヘルくんの家の前に立っていた。
ドアをノックすると、
「はい!今行きますっ」
すぐにサヘルくんの声が返ってきた。
足音がして、ドアが半分程開く。
「はい……」
ドアの隙間から恐る恐るこちらを覗いたサヘルくんに微笑んだ。