第22章 亭主の好きな赤烏帽子
わたしは椅子から立ち上がり、サヘルくんの元まで歩み寄る。
サヘルくんの顔を覗き込んだ。
赤く染まった頬、潤んだ瞳。
「……どうしたんですか?」
「なんか……身体が熱くて、だるいんです……少し、休みたくて……」
わたしはすぐさまサヘルくんのおでこに手を当てた。
「んッ……!」
サヘルくんは真っ赤に顔を火照らせ、俯く。
サヘルくんの体温が手のひらに伝わり、
「確かにちょっと熱っぽいですね」
わたしは静かに手を離した。
「とりあえず座って、熱を測りましょっか」
サヘルくんは耳まで赤くして頷いた。
「は、い……」
✱
サヘルくんに差し出した体温計が返ってきて、わたしは顔を顰める。
困った顔で、サヘルくんに優しく尋ねた。
「どうしましょっか?一応ベッドは空いてますけど、あんまりキツかったら早退とか」
「嫌ですっ!」
わたしはサヘルくんに似つかわしくない大声に思わず目を丸くした。