第21章 高嶺の花
二人の後を追う形で入った生徒指導室。
「……なんで丸木戸先生がいるん、ですか」
斗真先生が神妙な顔でわたしを見る。
わたしは口ごもった。
「いやその……わたしもあの場にいたので、というか、何となく心配で……」
「な、なんとなく、っすか」
斗真先生が肩を落とす。
わたしはすみません、と拝むようなジェスチャーをする。
斗真先生は永夢くんに向き直った。
「永夢」
永夢くんは不貞腐れた表情で、渋々顔を上げた。
「……何?」
「最近やっと落ち着いたと思ったら……この前おれが取り持った時に、和解したんじゃなかったのか?」
永夢くんは斗真先生の顔をちらりと見て、ため息をついた。
「斗真ちん、それ違う人。その子は前の前の前……?の彼女?かな?今日の朝の子はちょっと前のセ、友達」
永夢くんは拗ねた顔で続ける。
「ていうか、紗都せんせーが来てからオレ誰とも遊んでないし。ほかの女の子には悪いなあっては思うけど」
「……え」
永夢くんは続けざまに断言した。
「オレ、紗都せんせーが好きだもん」