第20章 悪事千里を走る
わたしは口角を上げ、ゴム手袋を付けた利き手にローションを垂らす。
指先を閉じたり、開いたり。
全体にくちゅくちゅとローションを絡め、時雨先生を見据える。
びくっと微かに身動ぎした時雨先生の片膝に手を置き、
「最初はちゃんとしてあげますからね」
尸口の縁をゆっくりとなぞった。
つーっと下向きにローションが垂れ、時雨先生は身体を攀じる。
「う、んッ……あ、ぁっ……」
か細い声を上げながら、表情を歪めた。
その垂れ落ちた粘液を指先で掬い取り、優しく後孔を撫で回す。
固く閉じた穴に蜜を馴染ませるように、何度も何度も指先で円を描く。
「ふぅッ……」
時雨先生が僅かに背筋を反らす。
わたしが指を動かす度に眉根をきつく狭め、身を強ばらせる。
「ひ……ん、ぐ……ぁあっ、うッ」
苦しげな喘ぎを洩らし、辛そうに下腹を動かす。
先程よりも角度の落ちた逸物がふるっと揺れた。
時雨先生の切なそうな声、異物感を耐える顔。
下腹部がきゅうっと締め付けられた。
心臓が強く脈を売って、わたしの中の嗜虐が身体の中で蠢く。