• テキストサイズ

男子校の女王様。

第20章 悪事千里を走る


わたしの前方を歩く猫背の男性。

気だるげに背を丸め、ぺたぺたと足を踏み出す白衣の後ろ姿。

わたしは後ろから早足に追いかけ、

「……時雨先生っ!」

「え」

振り向いた時雨先生。

時雨先生が背にしていた壁に向かって勢いよく手をついた。

「うッ……!」

ドン、と音がする。

わたしは時雨先生の背後の壁に腕を伸ばして進行方向を塞ぎ、立ちはだかった。

上目に時雨先生を睨む。

時雨先生の僅かに開いた瞳がわたしを捉える。

わたしと認識したのか、瞳はゆっくりと細まる。

訝しげにわたしを見つめ返した。

「びっくりした……何だよ……」

「それはこっちの台詞ですよ!」

わたしは思わず声を張る。

尚も怪訝な表情の時雨先生に、ため息をついた。
/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp