第17章 風が吹けば桶屋が儲かる
「……ねえ、こんなこと言われて感じてるんですか?」
時雨先生の耳元に言い放った。
縛られた肌が粟立ち、
「あ……ッ!」
腰が波打った。
溜まった欲が溢れ出し、白濁した体液が散らかる。
熱い液体は粘っこくて、手に絡みついてくる。
立ち込める臭いが鼻先を突く。
ぐちゃぐちゃなそれを拭い、時雨先生の口元に差し出した。
躊躇なく伸びた赤い舌先がわたしの手の上を撫でる。
わたしは真っ黒な旋毛を見下ろし、優しく擽る。
「ん……ふっ……」
「どうですか?」
時雨先生が舌を止め、目線を上げる。
舌先から、白い半透明の液が糸を引いた。
時雨先生はうっとおしそうに口を開き、
「……自分の、とか……不味いし、気持ち悪いし……」
声を掠れさせる。
「最、高……」
わたしは満足に微笑む。
時雨先生の顎を掴み、
「丸木戸……ッ……!」
口端から垂れる青臭い液を舐めとった。
咥内に広がる味は苦くて、自分のした行為と重なった。
名も知らない彼女の知らない味。
わたしの鈍麻した罪悪感をほんの僅かにだけいたぶった。
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