第3章 口は災いの元
「どこが痛いの?」
聖くんはわたしから目を逸らす。
「……脚だよ、ちょっと打ったんだ」
「脚か、そっかあ。どこら辺?」
「ふ……太もも、っていうか……」
随分と歯切れが悪い。
急かさずに待っていると、不服そうに答えた。
「足の付け根の、とこ……内もも、が……」
「うん、じゃあ制服脱いでくれるかな」
「…………」
聖くんは気まずそうに、ベルトに手を伸ばした。
カチャカチャと音を立て、ズボンを脱ぐ。
下着から伸びる白く整った脚。
綺麗な身体つきだなあ、と関心してしまう。
見惚れていると、聖くんの頬が赤らんでいることに気がついた。
嫌そうな顔の聖くんを従わせるのは、なんだか少し……。
胸の奥がざわつく。
永夢くんの潤んだ目を見た時みたいな、血が滾るような感覚がわたしを襲う。
わたしはかぶりを振った。
「……どうしたら、いいですか」
聖くんは不信げにわたしを見つめていた。
「あっ、ご、ごめんなさい!どうしよ、えっと、診察台に座って貰えますか……」
最近、ちょっとおかしいのかもしれない……。
「脚、開いてくれますか」
聖くんは一瞬躊躇い、ゆっくりと両足を大きく開いた。