第3章 口は災いの元
わたしがきょとんとしていると、その様子を鼻で笑い、椅子に浅く腰掛けた。
足を組み、わたしを値踏みでもするかのように見つめる。
「いや、そのメロメロな様子見てるとおかしくってさ……あんたも永夢に懐柔されたんだろ?」
「か、懐柔って……」
「わたしだけは特別、なんて思わない方がいいぜ、永夢は馬鹿女に対するおべんちゃらだけは上手いからな」
わたしは聖くんの毒舌に固まった。
「乗せられて校内で淫行紛いのことをする奴もいたしな」
わたしはその言葉に思わずビクッとした。
聖くんは気にする様子もなく、面白そうに笑った。
「ああ、別に先生のことじゃなッ」
語尾が不自然に跳ね上がる。
聖くんは苦しげに顔を歪めた。
「いっ、つ……!」
「どうしたのっ、大丈夫!?」
聖くんはハッとした顔になる。
顔を手で隠すようにして、椅子から立ち上がった。
「大丈夫、もういい」
わたしはその手を掴む。
「大丈夫な訳ないでしょ!保健室に用事があるんでしょ、どうしたのか教えて?」
「だからいいって言ってるだろう!僕はもう授業に戻」
「……ダメ、言うこと聞いて……」
聖くんの肩が跳ね、ぎょっとした顔で動きが止まった。
「わかったよ……」
渋々椅子に座り直す。