第17章 風が吹けば桶屋が儲かる
わたしは自信満々で彼女のプレゼントを差し出した。
時雨先生の第一声。
「……いらねえもん貰ってくんな」
苦々しそうに吐き捨て、眉間に皺を寄せた。
時雨先生はそのままプレゼントをわたしに押し返す。
わたしはパカッと口を開き、呆然とする。
脳内で時雨先生の言葉を何度も反芻しようやく理解した。
わたしはもにょもにょと口を動かす。
「な、なんてこと言うんですか、プレゼントですよプレゼント」
「…………」
虚空を睨んでいる時雨先生に必死に言い返す。
「可愛い女の子でしたよ?学生の……ほんとに可愛らしい、感じで……それに、開けもせずにそんな……」
時雨先生はわたしを一瞥し、深いため息をついた。
不服そうな顔のわたしに、顎で指図する。
ムスッとした表情で、プレゼントを指し示した。
「開けてみろよ、それ」
「えっ?ダメですよ!あの子は時雨先生にくれたんです、わたしは責任を持って」
時雨先生は表情筋をピクリとも動かさず、黒目だけでわたしを睨む。
「いいから貰ったおれがお前に開けろっつってんだよ……」
時雨先生の眼光が鋭くなり、わたしを捕らえた。
「わ……分かりましたよぉ……」
わたしはあまりの圧力に怯み、しぶしぶ包みに指をかけた。