第16章 犬馬の心
数枚追加でティッシュを抜き取り、
「ん……っ、ふ……」
尿道に残った精液も扱いて搾り取る。
ぐしゅぐしゅと丸め、ゴミ箱に入れた。
自分で慰めると、終わった後が虚しい。
可愛い、って微笑んでくれる紗都せんせいはいない、早い、って虐めてくれる紗都せんせいはいない。
気づけば時間もとっぷり過ぎている。
「……手、洗ってこよ……」
ぼくはベッドからむくっと起き上がった。
足音を立てないようにそろそろと部屋を抜け出る。
洗面所でザバザバと手を洗い、鏡を見る。
水垢で白くなった鏡を袖口で擦る。
鏡を見ながら首輪を取ろうとして。
「わん……」
何となく呟いた。
背筋にぴりぴりと刺激が走る。
想像以上に、いい、かもしれない。
わんわん、と小さく鳴きながら、紗都せんせいのことを思い浮かべる。
ぼくが犬なら……。
「……紗都……ご、ご主人様ぁ……あッ……!」
腰がビクンと跳ねた。
肌が粟立ち、ズボンが盛り上がる。
下着を外側に引っ張り中身を覗く。
ぼくのそれはいつの間にやらビンビンに立ち上がっていた。
「犬、って言うか……さ、猿かも……」
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