第3章 口は災いの元
「時雨先生はいないのか」
「ごめんね、ちょっと留守にしてるの。保健室に用事かな?それだったら、わたしが」
聖くんはわたしを一瞥し、背を背けた。
「永夢、お前授業はどうしたんだ」
「かいちょーこそー。サボり?」
「……僕は保健室に用事があったんだ、お前とは違う」
わたしまだ喋ってたんですけど、と頬を膨らませる。
永夢くんはわたしの表情に気づき、
「はいはい、それじゃーねかいちょー」
「おい……」
強引に話を切り上げた。
「授業行ってきま〜す」
飄々とした様子で歩き出し、
「じゃあね、せんせー」
後ろを振り向く。
わたしと目を合わせ、ニコッと笑った。
可愛らしい笑顔に、気恥ずかしくなる。
「あ、じゃ、じゃあ……ね」
永夢くんが出ていく。
「えっと、聖くん、今日はどうし」
聖くんは冷笑していた。
それも、わたしの方を見て。
「た、の……?」