第15章 嵐の前の静けさ
わたしは片手に遠隔操作のリモコンを忍ばせ、黒板に向き直る。
教卓に教員用の教科書を広げる広げる。
「じゃあ、今日は112ページからです。みんなも開いてください」
わたしはそっとリモコンのスイッチをいれた。
弱に設定したローターが作動する。
ブルブルと振動を始め、密着した亀頭に刺激が走る。
「ン……!」
聖くんはピクッと肩を揺らし、唇を薄く噛んだ。
「大気汚染と健康ですね。人間の産業活動や生活は環境に影響を与え、引いては健康にも影響を及ぼします」
頬を紅くし、俯いている。
細かくふるふると震えながら、自身の制服を握る姿がなんとも言えずいじらしい。
わたしは身体が熱帯びてくるのが分かる。
ぺらりとページを捲り、文字を目で辿る。
「……いわゆる公害ですね。これによって引き起こされる病気があるんですが、分かる子いますか?」
「はいはーい!公害病でーす」
「そうですね、正解です。公害病にも色々な種類があります」
聖くんはわたしと生徒の会話も耳に入らないらしい。
ただひたすらに吐息を耐え、募る性感に奥歯を噛んでいる。
わたしは教室内を見渡す仕草をし、
「えっと……」
聖くんにだけ分かるように口角を上げた。
「一条くん、次の部分を読んで貰えますか?」
聖くんはビクッと顔を上げる。
涙目で、椅子を引いた。