第15章 嵐の前の静けさ
わたしがその様子をじっと見ていることに気づいたのか、聖くんはすぐに表情を抑える。
『そ……そう』
素っ気ない返事をする。
『それで、全然関係ないんですけど』
わたしは自分の携帯を取り出し、ある写真を表示した。
聖くんに画面を見せる。
『これ、覚えてます?』
聖くんはほんのり頬染めていた顔を真っ青に変えた。
わたしの携帯の画面には有る日の聖くんの痴態が映っている。
絶頂直後の溶けきった顔がバッチリ納められている。
わたしは携帯を持ったまま、微動だにしない。
『一応バックアップ取ってるので、今奪い取っても無駄ですよ』
『なっ……なんだよッ……!もうサヘルには何もしてない!そんなもの今更!先生は何が言いたいんだよ……!』
『これから聖くんに使ってみたいものがあって、念の為に』
わたしは自分用デスクの引き出しの鍵を開く。
その中から小型のローターを取り出した。