• テキストサイズ

男子校の女王様。

第15章 嵐の前の静けさ


わたしは見慣れた雰囲気に切り替わった彼の元にこっそり近寄る。

「聖くんっ!」

背後から彼の名前を呼び、ぽんっと背中を叩いた。

「うわあッ!?」

聖くんは飛び上がり、目を丸くしてする。

ぱちぱちと瞬きし、わたしを見る。

「なんだ、紗都先生か……」

「な、なんだって……すみません、わたしで残念でした?」

「その逆」

聖くんはツンとした態度で言い切った。

わたしはその返答にきゅっと口を引き結ぶ。

熱くなった頬を手で軽く押さえた。

「……なんで紗都先生が照れてんの?」

「い、いえその、不意打ちだったからちょっと恥ずかしくて」

聖くんはムスッとした顔で、伏し目がちに呟く。

「僕の方が恥ずかしいだろ、あんなとこ見られて……」

どちらともなく、二人で並んで歩き出す。

「あんなとこって、今さっきのお友達といた時ですか?」

「……あいつらは生徒会の役員」

聖くんはお友達、という部分だけを否定し残りは否定も肯定もしない。

きっとイエスと見なしていいのだろう。
/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp