第15章 嵐の前の静けさ
放課後、わたしは廊下で立ち止まっていた。
わたしの目線の奥にはたくさんの書庫を備えた図書室がある。
その前でたむろっている複数人の生徒たち。
ある男子生徒が息巻いた様子で一人の生徒に向かって頭を下げた。
「聖会長、今日はわざわざ遅くまでありがとうございました!」
それにつられるように、残りの生徒もその生徒に向かって口々にお礼を言う。
「聖さんのおかげで頑張れそうですっ!」
「ほんとありがとうな、会長っ」
「ありがとうございます、一条先輩!」
みんなに感謝の言葉をぶつけられた彼は、おっとりした微笑を浮かべた。
「気にしないでください」
彼がにこやかに微笑むと、生徒たちはますます浮き足立つ。
彼は嬉しそうに帰っていく生徒たちを見送り、
「……ふぅうぅ……」
深いため息と共に眉間に皺を刻み込んだ。