第3章 口は災いの元
切羽詰まった様子の斗真先生が、慌てて駆け込む。
「時雨!体育の授業中に生徒が倒れた!」
時雨先生の顔色が変わる。
手早く支度をし、斗真先生の元に連れ立つ。
「分かった、どこだ?」
斗真先生と共に保健室を出、一瞬立ち止まり振り返った。
「丸木戸、俺が戻るまで頼むわ……」
「はい!」
わたしは大きく首を縦に振った。
デスクに戻る。
さっきの時雨先生は少しかっこよかったな、なんて。
そんなことを思っていると、ドアが開いた。
見ると、
「せーんせ、おはよ」
永夢くんがこちらにひらひらと手を振っていた。
「……おはようございます、でももうお昼ですよ」
永夢くんは慣れた様子で保健室に入る。
生徒用のイスに両膝を立てて座り、
「ん、今学校来たから」
悪びれもせずくしゃっと笑った。
わたしは顔を顰める。
「ちょっとー……」
それに気がついた永夢くんはわたしを軽く窘める。
「今授業行っても途中だから、次から最初から行くって」
「ほんとですか……?まあ、それならいいですけど、なんにもないならそこで暇潰しててください」
わたしはデスクワークに移る。