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男子校の女王様。

第13章 嘘から出たまこと


「いた」

屋上のドアを開けると、寝転がっていた生徒が振り向く。

「ん?あー、紗都せんせ〜」

永夢くんは悪びれもせず、むしろ嬉しそうに笑った。

わたしは呆れ気味に永夢くんの元に近寄る。

「斗真先生が探してましたよ、クラスのエースがいなくなってすごく困ってるみたいですけど」

わたしはトゲのある言い方をするも、

「あ、そーなんだ〜」

永夢くんの返事に眉をひそめた。

「そーなんだ、って……」

永夢くんはにこっと笑った。

「紗都せんせーもフケちゃいなよ」

永夢くんの言葉に誘われたかのように、気持ちの良い風がわたしの頬を撫でる。

見晴らしのいい景色が目に飛び込んできて、わたしは静かに腰を下ろした。

「でも時雨ちんが放っとかないか」

からかうような口調にむっとする。

わたしは平静を装い言い返す。

「……時雨先生は講習会に行かれてます」

永夢くんがぱっと身を起こした。

「ふーん、時雨ちん忙しいんだね〜」

「保健医っていうのは数少ないですから。他の学校から教えを請われたり、参考として呼ばれたり、現場の状況や事例を紹介したりする用事が沢山あるんですよ」

「ふーん……」

「そんなことはいいんです、永夢くん。理由や事情のない欠課や欠席はいただけませんね」

じろりと睨むと、永夢くんはにんまりと笑った。

「それならサボりのおしおき、してよ」

いたずらっ子のように言い、わたしのおでこにこつんと自分のおでこを合わせた。

じっと見つめられ、顔が熱を持った。

わたしは急いで身を離す。

「ちょっ、とっ!」

「かーわいぃー」

永夢くんはケラケラ笑っている。

わたしは熱い頬を手で押さえた。

「……もう二度とサボりなんてしたくないって思えるようにしてあげますよ」

「え、じゃあ」

期待混じりの目でわたしを見る永夢くん。

わたしは首を振る。

「でもまだダメです、放課後まで授業頑張ってくださいね」

「え〜っ」

不満の声を出す永夢くんの口元に指を置く。

そのまま永夢くんの唇を押さえ、微笑んだ。

「頑張れますね?」

「……うん」
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