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男子校の女王様。

第12章 火に油を注ぐ


首を傾げると、斗真先生は意を決したように表情を改める。

「よ、良かったら……まだお話しません、か」

ぽかんとしていると、斗真先生は慌てて言い繕う。

「あ!もちろん時間がなかったらいいんすけど!全然っ!でも、その、丸木戸先生が、いいのなら……」

斗真先生は赤面して俯いた。

「まだ、一緒にいたいっす……」

その初心な様子に、胸がキュンとした。

わたしはこくんと肯く。

「いいですよ、こっちに公園がありますから少しお話しましょう」

斗真先生は表情を華やがせた。

「はいっ!あ、ありがとうございます!」

わたしは大袈裟なお礼に苦笑する。

二人で歩き始める。

公園に辿り着き、ベンチに並んで座る。

斗真先生はふうっと息を吐き、呟いた。

「その……」

わたしは黙って続きを待つ。

「もう、時雨とか、そういうのは関係なくて……おれ……」

斗真先生は真っ直ぐにわたしを見つめた。

「丸木戸先生、付き合っている男はいますか」

わたしは思わず目線を逸らす。

もじもじと答えた。

「……い、いません」

「ッしゃあ!じゃ、じゃなくて!すみません、あの!」

斗真先生は身を乗り出した。

「よ、良かったら、そのっ!こっ今度おれとデートでもっ」

その時、

「……アンッ、あ、ぁあ……」

聞こえてきた喘ぎ声。
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