第11章 鞍上人無く鞍下馬無し
わたしは腰を上げ、 サヘルくんを見下ろす。
サヘルくんに優しい声色で話しかけ、
「自分の大事なとこ、わたしに鞭で叩かれる妄想しただけでイッちゃったんですか?」
「は、い……ごめんなさいっ……」
柔らかい髪に触れた。
汗で額に張り付いた前髪をずらし、ほほ笑みかける。
「……すっごく可愛いです、そんなにわたしのこと好きなんですか?」
「あ、あ、せんせい……だ、大好きです……っ」
サヘルくんは不安そうな表情を緩め、もじもじと身を起こす。
わたしはサヘルくんの背に両腕を回す。
「あ……」
サヘルくんは幸せそうな声を上げる。
わたしはサヘルくんをぎゅっと抱きしめ、よしよしと頭を撫でた。
「時間までこうしてましょっか」
「はぃ……好き、好きぃ……紗都せんせい、大好きぃ……」
サヘルくんはわたしの腕の中で、とろとろに溶けきっていた。