第11章 鞍上人無く鞍下馬無し
サヘルくんは机上に荷物を置いている途中で、目を丸くした。
「…………」
そのまま呆然としている。
わたしはベッドから下りる。
「何かありました?」
「あっ、ご、ごめんなさいっ」
見ると、ティッシュ箱の隣に避妊具が乱雑に入った籠が置かれている。
「……こ、これ……」
「保健の授業で習ったでしょ?」
わたしが言うと、サヘルくんはかあっと顔を熱くする。
小さく頷いた。
「……先生が使い方教えてあげましょうか?ね、先生と実習しましょ……」
わたしは後ろから、サヘルくんの耳に優しく吐息をかけた。
そのまま耳の端にかぷりと噛みつき、服の上から胸元を触る。
「あ、あッ……」
「……なんちゃって」
サヘルくんはみるみるうちに耳まで真っ赤にして、わたしからぱっと離れた。
「あー、逃げましたね」
ハアハアと息を零しながら、耳を押さえてわたしを恨めしく見る。
「せ、せんせいっ……もうっ……!」
わたしはお腹を抱えて笑う。
「……ぼくで遊んでないで、着替えてくださいよぅ……」
「そうですね、時間もありますし」
わたしは身体を起こし、持参した袋を手に取った。
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