第10章 京の夢大阪の夢
『い、今すぐじゃなくていいんだ丸木戸は学生だしおれは教師、だし……当たり前だけど、断ってくれても、いいし……』
おれの声はだんだん小さく尻すぼんでいく。
立場の違いが引け目になって、そのまま現れているようで歯噛みする。
おれは俯いたまま、絶望的な気分で丸木戸の返事を待つ。
『別に今すぐ付き合ってあげてもいいですよ』
『えっ!』
おれは予想だにしない返答に、弾かれるように顔を上げる。
放課後の夕焼けを背に浴びながら、丸木戸は微笑んでいた。
『その代わり、斗真先生もわたしの遊びに付き合ってくださいね』
丸木戸の言葉が耳に届く。
おれは理解が追いつかないままに、全身にぞわっとした快感を覚え始めていた。
✱