第9章 肉を切らせて骨を断つ
わたしは撮影した写真を聖くんに見せつけた。
「これ、今度サヘルくんに意地悪したらばらまいちゃいますね」
おどしつけると、
「聖くんはいい子だから、これからはちゃんと出来ますよね」
聖くんはぼうっと頷いた。
「……わたしはこういう人なんです、サヘルくん以外にもこういうことを」
サヘルくんの方を向き、驚いた。
サヘルくんは法悦しきっていた。
「紗都先生すっごく綺麗でした……優しくて可愛いって思ってたけど、綺麗でかっこよくて」
わたしを賛美する声は多幸感に溢れている。
「聖先輩とのことも解決してくれたから学校にも普通に行けるようになります、紗都先生っ……すごく、好きです……」
わたしの顔は驚きを通り越し、引き攣り始めた。
聖くんを見ると、わたしを呆れたように睨んでいる。
「紗都先生はぼくにとっての女神です……」
サヘルくんの目は、以前よりもずっとうっとりとしている。
幸福感に満ちた眼だった。