第7章 七夜
「センパイって、そうやって顔は赤くしてくれるのに全然ボクに返事はしてくれませんよね」
「だ、だって、私はあなたの事を好いている訳じゃありませんし……」
「そう言う割には抱きつかれても抵抗しませんよね。」
う、と痛いところを突かれて身体が固まる。
自分でも何故か分からないが、抱きしめられるのは嫌いではなかった。そもそも両親を失ってから人肌の温もりを感じることなんてなかったし、きっと懐かしく思ってるだけ……。
「あ、明日!今日の任務やり直しましょうか!だっ、だからもう…!」
「分かりましたよ。じゃあボク二人の様子みてから戻りますね」
するりと腕が抜けてトビさんは下へと降りてしまった。さっきまで抱き締められていた肩あたりは温もりを残し、風が吹く度にその温もりはどんどんと剥がれていってしまう。少しでも逃さないように、腕をさすった。
何故だろう、まだドキドキはとまらない。
好きじゃないはずなのに、もう一度抱きしめて欲しいって思ってしまう─────