第23章 二十二朝
「……!」
煌々と降り注ぐ光の中、イタチがぶるりと身体を震わせた。
すぐ側に感じる、チャクラの反応。突如伸びてきた根に包まれた“それ”は、まるで羽化寸前のサナギのように蠢いている。
デイダラのドラゴンが大きく羽を伸ばした。
突如月が光りだして……どのくらい経っただろうか。生身の人間は皆樹木の養分とされ、穢土転生体である自分たちは何事も無かったかのようにこの戦場に取り残され続けていた。
「なんだ?」
「いや……、動いた気がしたんだ。鎖羅が……」
そう言いつつ、やはり有り得ないことを口にしている自覚があるのか、イタチは気まずそうに目を伏せる。
「おいおい、どーすんだよこれェ!前線がどうなってっかも分かんねーし、つか虫の卵みてーなキモチワリィこれはなんなんだよ!」
飛段が地面に転がったサナギを蹴飛ばした。
偵察に向かっていた角都が鬼鮫と共に戻り、ペインへ歩み寄る。
「2時の方向だ。明らかに変容している。」
そう言われ遠くの方へ目を凝らすと、根に包まれた体が同化し始め、皮膜のように白濁してきている。その質感に見覚えがあった。白ゼツだ。
「神樹に近ければ近いほど、“早い”ようだな。」
「正直、打つ手がありませんねェ。いくら探しても生きている人間は見つかりませんでした。死んでいる私達が今こうして話せているということは、もしかしたら生命のある者全てが……」
鬼鮫のその言葉に、イタチの脳裏にサスケの姿が過ぎった。