第7章 七夜
「私は……復讐の連鎖を止めなければならないと、そう思いました。それはイタチさんを、死ではない方法で、許してあげるんです。」
「………随分と慈善的な考えですね」
「慈善……ですか。」
そんなに優しいものでは無い、と鎖羅は思う。正解かどうかわからない行動ばかりして、その度に自分を正当化して、悪く言えばいい子ちゃんを演じているだけだった。
「この世界って、なんだか川の流れみたいだなって思います。」
「というと?」
「────川の流れは里を囲う壁にぶつかり、幾つにも生まれた泡沫はたちまち弾けてしまうように、忍の世はつわもの達が見るただ一瞬の夢に過ぎない。……代々私たちの一族はこの言葉を信念に掲げて生きてきました。」
「面白い言葉ですね。いまボクらが必死になってて戦って生きて、平和を目指しているのも、一時の夢に過ぎないって?」
「虚しいですが、幾度も夢を見てこの世界を見つめてきたご先祖様たちはそうお思いになられたようです。」
また二人の間に沈黙が流れた。
だが、今度は鎖羅から静寂を破る。