第7章 七夜
「……ッはい!」
左胸に親指を深く刺し、縮こまっている心臓に血を少量送り込む。引き抜いて巻物に示してある印を結ぶ。パン、と両の手の平を打ち付けると、心臓の鼓動は速まり、それと同じリズムでイタチの心臓は鳴き始めた。
「ッッ……ぐぅ」
髪がぶわりと逆立つ。すると、ビクンとイタチの身体が跳ねた。それを合図としたように、鎖羅は大きく深呼吸して倒れ込んだ。
「ッハ、ッ、ハァ、ハァ………」
「……ぅ…ここ、は」
「に、兄さん!」
手当はされているものの、未だ新しい傷にイタチは顔を歪めると、驚愕した顔でこちらを見るサスケを不思議そうに見つめた。
記憶に違いがなければ、自分は死んだはず。なのになぜまたこうして起き上がっているのか、到底理解も出来なかった。
「……なぜここに鎖羅が?」
「ソイツが兄さんを生き返らせたんだ、……兄さん、全部聞いたよ」
「ッ!何故、お前には天照を……」
鎖羅は起き上がり、夢に見た時より幾分も兄弟らしいふたりを見て微笑むと、隠れ場所から出ていった。外は月が高くあがり、湿っぽい風が吹いている。
「トビさん」
「生き返らせたんスね」
トビさんは夜風に当たりながら、隠れ場所の洞窟のてっぺんで月光浴をしていた。飛び上がって隣に座ると、二人の間を暖かい月明かりが照らす。