第6章 六夜
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瞬間、地面が揺れた。
辺りの鳥たちはバサバサと羽音をたてて逃げていく。
何事かと思えば、大きな雨雲が傘のように遠くの森の一部分を覆っている。その雲の中で雷が光っていた。
「な、なんだ……?」
「あの場所は……うちはのアジト……!」
鎖羅の横からゼツが地面から現れた。
トビは歩み寄るとバクッ、と口を開けた植物の内部から顔を出したゼツと話し始める。
「サスケノ勝チダ、イタチハ……死ンダ」
「………イタチ、さんが?」
「やっぱそうだと思ったんスよね〜!じゃ、鎖羅先輩向かいましょうか」
トビさんに手を引かれて下へ降りる。
木ノ葉の忍たちがイタチさんの訃報を聞いてざわめいている中、ただ一人、九尾の人柱力は走って追いかけてきた。
「待て!イタチって……死んだってどういうことだ!!」
「も〜ボクら急いでるんですよ、言ったそのまま理解してくれませんかね?」
「サスケはッ……サスケはどこにいるんだ!!まさか、……まさかサスケが?!」
トビは呆れたように頭を抑え、鎖羅の肩を引き寄せた。このやり取りに興味が無いように、ゼツは地中に埋まっていく。
「ッ、えっ」
間髪入れずに視界は歪んだ。九尾の人柱力の苦虫を噛み潰したような表情は渦を巻いて闇に飲み込まれていく。いや、私たちが飲み込まれていっているのか、分からないが吐き戻しそうなほどの脳の揺れに襲われた。
取り残されたナルト達は消えてった時空をただ見つめていた。