第6章 六夜
「と、とりあえず、私は今すぐあなたの気持ちに答えることは出来ません!ので、もう寝ましょう……?」
「……はーい」
すたすたと部屋を出ていったトビに拍子抜けしたが、ひとまず切り抜けた、と鎖羅はため息をつく。
会って数日の男に好きだと言われて、里でも頻繁に関わってた異性なんてスメラギか父かしかいなかったし、本当は暁のメンバーにだってどう接せば良いのか分からない。
鎖羅は布団を頭から被った。
身体の火照りで汗ばむのも気にせず、うんうんと唸りながら一夜を明かした。
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「おはようございます!じゃ、行きましょうか!」
「おはよう、ございます………」
鎖羅は目を擦りながら俺の後ろへついて歩く。あれぐらいで悩んで夜も眠れなかったとは、所詮子供だ。
「アレッ、鎖羅先輩、もしかして昨日の事で夜眠れなかったんですか?」
「……っ、い、いきましょう」
あからさまに顔を赤くして歩調を早める姿は案外早く落とせそうだ。それでいい、ただ疑いを持たずこのまま落ちてくれれば……。