第5章 五夜
「罪は許されません。ですが、アナタが兄として弟さんにしてやれることと言ったら、憎しみを連鎖させないことだと私は思いますがね。もし弟さんがアナタを殺してしまえば、弟さんが向けていた憎しみは、次は一体何処へ向くのでしょう……?」
イタチは口を開かなかった。開けなかった。
どこかで自分を許して欲しかったのかもしれぬ男は、幾度となく弟に許しを乞うた。
もしサスケが、あの日の真実を知ってしまったら……?
憎しみを向けるべき相手が俺でないことを知ってしまったら……?
「世界の仕組みも知らないガキの尻拭いは、年長者がするモンですよ。」
それもせずに死ぬなんて、無責任だと思いますがねェ………┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
イタチと鬼鮫はアジトへ歩みを進めていく。
明日は約束の日だ。
疼く胸元を抑えながら、薬を道端に投げ捨てた。