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邯鄲の夢【NARUTO】

第5章 五夜



大浴場は誰も利用者がおらず、運良く貸切状態だ。身体を流して露天風呂へ向かう。熱いお湯は雨で冷えた身体にとても沁みた。

橙から紺へと切り替わる境目は幻想的な印象と共に底知れない恐怖を感じると思う。暗い空でさえも燃やし尽くしてしまうような夕陽はいつしか見る度に、あの日の戦火を思い出させるようになった。

平和とは、痛みを知ることだとリーダーは言う。皆が平等に争うことの痛みを知ることで、未来永劫決して同じ過ちを繰り返すことは無い───そういうことらしい。

私にはまだ平和への道は見えていない。
リーダーの目指す平和が正しいのかも、分からない。
だけど、この暗い忍界を夜明けに導く事を皆が目指している暁に加入したことは間違いではないと、今なら言える。


空は満天の星空に包まれ、北極星は進むべき道を旅人へ示す。
手の中の湯に映し出された導きの星は、ゆらゆらと不安定に揺れていずれ流れていった。



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