第5章 五夜
「今までありがとうございました」
「なんかその……お前もこれから大変だろうから頑張れよ、うん」
「うっ……」
デイダラさんは哀れみの目で私の肩をポンポンと叩く。これからの相方はあのヘラヘラとした 謎の男だ。言いたいことは分かる。
「オイラもああいう軽そうな男は好きじゃねえよ……うん。なによりべ〜っらべらと口数が多い男はクールじゃねえからな!」
「お前も大概うるせぇぞ」
声がした頭上を見上げると、サソリさんが工具を持って割り込んでくる。デイダラさんの批判に耳も貸さずに定位置の机の前に座った。
「鎖羅、中の装置を改良しといた。オーバーヒートするのは減ると思うぜ」
「あ、ありがとうございます」
差し出された武器を受け取る。ひやっとした感触はもう既に手に馴染んでいた。
「寂しくなるなァ、もうそいつが使われている所を見れなくなるのは」
「……たまに、分からないことがあったら聞きに行きます。先輩になっても、私はまだ御二方の後輩ですから!」
「おう、短かったけど結構楽しかったぜ!スリーマンセル!うん!」
ニッ、とデイダラさんが笑う。それにつられて私も笑みが零れた。久しぶりに誰かと一緒に笑いあった気がする。どこか懐かしいような、新鮮なようなこの気持ちは忘れることは無いだろう。寂しいけど、二人が私のために作ってくれたこの武器があればどんな戦場だって駆け抜けていける。そう思った。