第5章 五夜
「アスマ……ッ!アスマ!!」
「アスマ先生!!そんな!」
「アスマせんせッ、目を開けて!」
彼の弟子であろう三人は倒れたアスマを取り囲んだ。角都と飛段はその様子に見向きもせずに背を向ける。
「辛気クセェのは寒気がするぜ」
「てめェ……ッ!よくもアスマを!!」
投げられたクナイを打ち返す。
涙を流しながら走ってきた少年は飛段に向かっていくが、鎖羅はそれを阻止する。
怒りを支配出来ていないのか、忍組手すらも忘れたかのようにがむしゃらに向かってくる拳を受け流す。手首を掴んで身を寄せ、膝を突き出してやればみぞおちに入った。
「グッ!」
「シカマル!!」
「肉弾戦車!」
針のように尖った髪を持つ体格のいい少年は地面を抉りながら車輪の如く突進していく。だが角都は煙幕を投げたため、ただ煙を割いただけだった。
「ックソ!」
二人が去ったのを確認し、鎖羅はシカマルと呼ばれた少年を地に寝かせて霧化する。
護衛任務に失敗した木の葉は、ただ湿気を持った空気の中呆然と立ち尽くすだけだった。