第5章 五夜
寺院の外では、背後に赤い鬼を浮かばせた地陸が倒れている暁の二人を険しい目付きで一瞥した。
弟子たちを連れて背を向ける。
「いっ………てぇ、オイ角都!生きてっか?」
「当たり前だろう」
先程の攻撃をものともせず二人は起き上がった。飛段は鎌に体重を預けながら切られた足の傷口から流れる血を利用して奇妙な図を地面に描く。
「早く終わらせて帰るぞ」
「分かってんよ!!黙ってろ!!」
鎌を回して刃に付いた血を舐めとる。ニタリと不気味な笑みを浮かべると、身体に骸骨を模した白黒の模様が浮かび上がった。
「覚悟しろよォ……死ぬほどイッテェからなぁー………」
黒い槍で心臓に狙いを定めると、一気に貫く。飛段の口から血が吐かれるとともに地陸も血を吐いた。胸をおさえて倒れた地陸を弟子が駆け寄るが、既に絶命していた。
「きんッ………もちいぃい……」
ビクビクと肩を震わせ、ゆっくりと槍を引き抜く。角都は残りの弟子たちを窒息死させると、ぐったりと息絶えた地陸の襟元を掴んで引き上げた。
「換金所だ。早くしろ」
痛みの余韻に浸っている飛段をよそに角都は足取り早く換金所へ向かっていった。