第5章 五夜
夕立に振られ、森の動物たちは一斉に住処へと帰っていく。
人ひとり寝れるくらいの大きさの切り株の上には飛段が印を結び目を閉じている。
頬には雨が流れ、髪をかためた整髪料が溶けだしていた。
爆発音に似た落雷音が響く。二人はゆっくりと目を開けた。
「ハァーーッ長かったぜ」
切り株に立てかけた三連鎌を手に取る。
角都も木の幹から立ち上がると、アジトの方向とは逆方向に進み出した。
「オイオイ、とうとうボケちまったかぁ?」
「賞金首狩りだ。火の国へ行くぞ」
「お前ッ……この雨ん中かァーーッ?!?風邪ひいちまうぜ、ッたくよぉー!!」
「馬鹿は風邪ひかない」
二人は小競り合いをしながら火の国にある寺院へと歩いていく。その様子を木の上で見据える男がいた。