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邯鄲の夢【NARUTO】

第22章 夢現



「今度は鎖羅が遠征任務だろう?せっかく一緒に住んでいるというのに、二人の時間があまり取れないな」

オビトは鎖羅の頬に垂れた髪を耳にかけてやりなから、寂しそうにぽつりとそう囁いた。
確かに言った通り、二人の時間は交際前のツーマンセル時代よりも明らかに減っていた。片方が任務から帰ってくる頃には相手は雑務で忙しく、少ししたかと思えば入れ違いで任務へと駆り出されている。


「でも……大丈夫です、次の任務は調査に過ぎませんし、すぐに終わらせて帰ってきますよ」

鎖羅の顔に影が落ちる。額をオビトの前髪がちくりとくすぐった。生ぬるい舌が互いの熱い息によって溶かされていく。唾液が繋がる。顔の横に置かれた腕に鎖羅は縋るように指を絡ませた。ドクドクと脈打つ血、体温の昂り。


体は幾度となく重ねたハズだ。でも、鎖羅はよく“今までのこと”が思い出せないでいた。オビトが触れる手の温度、吐息の熱さ。知っているのに知らないような、そんな不思議な感覚。
記憶の奥を掘り返すように思い出そうとしていると、突如脳の中心から突き抜ける痛みが走る。

「ッう、……」

「どうした?」


その痛みは反響の如く増幅し、視界も揺れ始める。
ベッドから鈍い音ともに落ちた。オビトが自分の名前をひっきりなしに呼んでいる。頭を掻きむしりながらこの痛みを取り除こうとしても、次第に鎖羅の聴覚も視界も失われ、気づけば眠りに落ちていた。

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