第21章 二十一朝
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「うッ……う゛ぁッ!」
鎖羅は急激に自分の体が重力に支配される感覚に、地面に膝を着いた。ボタボタと胸の中心から血が垂れて、口の中は吐瀉物の酸味で酷く気持ちが悪い。
どうやらオビトの時空間忍術で飛ばされたようだ。
それでも、マダラに手をあてがわれていた箇所には丸く穴が空いて肉をちぎっている。あと少しで心臓だった。
「鎖羅?!」
広がっていく血の海に、ナルトは真っ先に足を伸ばした。
鎖羅の倒れた身体を起こせば口からゴポリと血混じりの吐瀉物が流れていく。しかしナルトが傷らしき場所に手を当て、そして離せば傷は既に塞がっていた。
「ハァ……ハァ……、ありがとうございます、ナルトくん。」
「!……来るぞ。」
サスケ、ナルト、サクラは体力を消耗したカカシと鎖羅を背に、神威により戻ってきたマダラとオビトの前に立ちはだかる。
オビトの左目は瞑られ、代わりにマダラは両の輪廻眼を取り戻していた。
「オビトさん!!」
「鎖羅!」
上空からデイダラの声が響いた。
カカシはその姿を確認すると、鎖羅を傍へ寄せて耳打ちをする。
「鎖羅、ここから離れろ。オビトとマダラは俺たちに任せてくれ。」
「で、でも!わたしっ……!」
「正直、まだお前じゃあマダラに太刀打ち出来ない。悪いが、守る“もの”をこれ以上増やすことはアイツらのチームワークに関わる。」
「ッ…………」
鎖羅は顔を顰めた。しかし直ぐに目に光を戻すと、頷いてデイダラの方へ向かっていく。
「リーダーからお前が探知できたって聞いてすぐに飛んできたぜ、うん。こっちはおおかた片付いた、伝達のために後方まで戻ってこいだとよ!」
「わかりました。一旦引きます。」
鎖羅はデイダラの鳥へ飛び乗る。
不安そうにオビトを見つめる鎖羅に、デイダラは気まずそうに地上を離れた。