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邯鄲の夢【NARUTO】

第21章 二十一朝



「ここまで来て心を綻ばせたか、オビトよ」

「ッ!」

オビトは背後から現れたマダラに首と身体を腕で絡めとるように拘束される。そして左胸に手を差し込み、上半身のみで浮遊し、オビトの顔越しに鎖羅に視線を送った。
少し見つめられただけでも力が抜けてしまいそうな程凄まじい瞳力。鎖羅は自然と舌を潤した生唾をゆっくりと喉へ送り込み、腰の銃に静かに指を這わせた。

「呪印札が消えているな……どうやって取った?自傷することすら許さないように仕込んでいたハズだ。」

「カカシに……ッ、貫かせた……。」

「ほう……ククク……。それらの光景が目に浮かぶようだぞオビト。何の因果か、お前たち2人とも全く同じやり方で呪印札を排除するとは。」

オビトがハッと目を見張った。

「貴様ッ……!オレにわざとアレを見せたなッ!!」

「うちはの力の覚醒には“絶望”というものが付き物なのだ。加えてそれが深ければ深いほど……そして愛情の深さもそれに伴って、目覚める力も尋常ではない強さになる。だが……」

「あ、ッ……」

マダラは空いた片方の手で鎖羅の胸に触れた。
ドクン、と心臓が跳ねる。
息が出来ない。痛みが広がる。
触れられているだけなのに、全身の血流が乱れるようだ。

「やめろッ……!!やめろマダラッ!!!」

「フン、せっかくあれ程までにしてこの世界に憎しみを抱かせたというのに、この小娘のせいで全て無駄となってしまったな。
……まあ良い。こいつを殺した後に、お前の左目を返してもらうとしよう。」

「鎖羅ッ!!左目を潰せ!!」

オビトのその叫びに鎖羅は触れていた銃身を取り出してマダラの眉間へあてがった。
その瞬間、ゾワリと血の気が引き、視界が歪んだ。
脳が掻き回される感覚とその吐き気に何とか耐えて飲み込みながら、鎖羅はチャクラを込める。


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