第21章 二十一朝
「ひとつ……ききたいことがあるんです。」
鎖羅はぽそりと口を開いた。
オビトはその表情を伺うように視線を上げる。
「オビトさんは私を捨て駒だったと言いました。だけどそう言い切るには、いくつかの矛盾があると私は思うんです。」
意思強く発せられる鎖羅の言葉にオビトは耳を傾ける。
「……禁術も、私の血も、全部あなたに必要なものはすぐにでも奪えたはず。ですが、あなたはそうしなかった。世界を敵に回せる程の忍が、どうして私なんかを生かしておいたんですか?」
オビトは堰を切るように投げつけられた鎖羅の言葉に。堪らず顔を背けた。
まるで喉元に鉛が詰まっているかの如く言葉が出せない。
「私は貴方を取り戻すためでもあるけれど、これを聞きたくて戦争に加わりました。教えてください。里や暁、私のあらゆる居場所、心や人生全てを奪ったのに、なぜ命だけは奪わなかったのか────!」
鎖羅の声は果てしなく広がるはずの神威空間にはこだましなかった。
それ故に、オビトの体の中にその言葉は響き続けている。
鎖羅はオビトの答えが欲しい気持ちもあるが、どこかに聞きたくないと感じている自分に気づいた。
その答え次第では、2人はもう終わってしまう。そんな気がしてならなかった。そして、鎖羅は終わらないという自信が微塵もなかったのだ。