第21章 二十一朝
「この戦争が始まる少し前から……です。」
その返答にサクラは心臓が握られたようにハッとした。
そもそもこの戦争を始めたのはオビトだった。そしてその時期には既に心を通わせていたと言うのなら、きっとこの2人の間にはここに至るまでに壮絶な過程があったはずだ。
「そう……だったのね。じゃあ、オビトは鎖羅さんのことを置いてまで……」
この事を知った今、サクラはどうしても鎖羅のことが放っておけないような気がしていた。自分にも似たような……いや、同じとも言ってよい経験があるからだ。愛している人に突き放されても尚、好きでありつづけるのは難しい事かもしれない。
でも、自分と鎖羅はそれが難しくはない。それほどまでに、相手を愛しているからだ。あの日に里を抜けたサスケの背中、サクラは1度たりとも忘れることは無かった。
そして、戦場という所まで身を投じた鎖羅にオビトへの気持ちを確かめる必要性など今更なかった。オビトは敵だし、自分の数多くの仲間を殺してきた犯罪者だ。しかし、この2人が何らかの形で報われて欲しいと、サクラは心からそう思った。
突如、ナルトの向かいの空間が渦を巻いた。オビトだ。