第21章 二十一朝
ひんやりとした冷たい空気がサクラの頬を撫でた。
術者を失った砂が解ける音が静かに響くその空間は、耳に薄い膜が張っているのかと思うほどに静寂で、血液の流れだけが明瞭に聴覚を支配する。
サクラは大きく息を吐いた。
マダラが現れてどれほどの時が経っていたのだろうか。
酸素が全身に回り始めた感覚に、彼の者が発する恐怖は呼吸さえも忘れさせる程のものなのだと実感し、腹の底から冷えていく。
右からドサリと人が倒れる音がする。
砂埃で薄汚れて僅かに茶を帯びた黒い外套が僅かに蠢いていた。
「鎖羅さん?!」
あの一瞬、鎖羅は求道玉をとっさに引き抜いた銃で弾き返していた。銃にも身体のどこにも異変はない。鎖羅は安堵し、起き上がってサクラの方へ向かう。
「大丈夫……なの?」
「大丈夫です。それよりナルトくんは……」
「九尾チャクラがあればすぐにでも生き返るはず。……鎖羅さんの生命力でも良いだろうけど、私は鎖羅さんには生きていて欲しい。きっとナルトだって自分のために命を落とす仲間の姿を見たくないはずだわ。」
あちらは今どうなっているのだろうか。サクラは神威空間が時間の流れが特殊なことを僅かに感じ取っていた。
「……ねえ、ずっと気になってたんだけど」
サクラの問いかけに鎖羅は耳を傾ける。
「鎖羅さんとオビトって、恋人だったの……?それって一体いつから?」
いつから、という言葉に、鎖羅は少し言葉に困った。