第20章 二十夜
「あ……っ、う、や、やめて……ッ!!!」
「黒ゼツっ!や、めろ……!!」
オビトはなんとか静止の叫びを絞り出し、右目を閉じる。
幻術をかけてしまったのはほんの一瞬だった。それでも、見ていたくない光景は脳裏に色濃く焼き付いている。それは恐らく……鎖羅も同じだ。
黒ゼツは握った手首を振りほどいて、鎖羅の襟元を掴んで投げ飛ばす。
「ナアニ、忍術トイウモノヲ教エテヤッタダケダ。……イヤ、アイツノヨウナ肉人形ニハソンナモノ必要ナカッタカナ?」
「ッ……クソが」
黒ゼツはミナト達に向かって足を進める。瞬身で打ち込まれた螺旋丸を皮切りに、再度猛攻が始まった。
(もう……オビトの意識がハッキリしてない)
雷切をかわされながら見たオビトの焦点が僅かに下に落ち、その瞳が濁っていることにカカシは気づく。
「ハァ……、ハァ……ッ」
一進一退の攻防戦に、3人の肩が上下する。
そしてそれは黒ゼツ側も同じらしく、シツコイナ、と悪態を漏らした。
「……ッ?!」
「先生……?」
ミナトが構えていた螺旋丸が、空気が抜けたかのように収められた。カカシと鎖羅は何が起きたのかも分からないでいると、上空から突如砂に乗った風影・我愛羅とその上に横たわるナルト、サクラが現れる。