第20章 二十夜
「ハァ、ハァ…ッ!」
鎖羅は地面に仰向けになるオビトに駆け寄る。
オビトはただ、自分を覗き込む地獄の穴の先を塞ぐように手をかざし、見つめていた。
「オビトさん……」
「…………」
忍刀を引き抜いたサスケが一目散に走る。
鎖羅は咄嗟にオビトへ覆い被さろうとしたが、カカシが突如歪んだ時空間から現れて身を引いた。
「……鎖羅、サスケ、急に出てきてすまないが、かつて同期で友であったオレに、こいつのけじめをつけさせてくれ。」
カカシの右手にはクナイが握られ、その切っ先は鋭くオビトの首元へ向いていた。鎖羅は嫌だ、と口を突いて出そうになったのをグッと堪える。唇を噛み、震える度に涙が滲んでいった。
しかし、その右手は飛雷神で駆けつけたミナトに掴まれる。
「!」
「オビト……チャクラを引っ張りあった時君の心の中を見せてもらったよ。随分息子と彼女に説教されたみたいだけど……でも、本来それをやるのは君の役目だ。オビトを“本当”に理解し、何かを言えるとしたら、対等な友達の君だと思うよ。カカシ」
ナルトは父のその言葉に、隣に立つサスケを見やる。対等な友達。その関係はいくら離れていても繋がっているハズのものだと、ナルトは分かっていた。
ナルトはサスケと共に、マダラ封印へと走り出す。