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邯鄲の夢【NARUTO】

第20章 二十夜




「覚えてるかい?4人でこなした任務の数々を……
リンは医療忍者として君達2人を必死に守ってた。」

ミナトは握ったカカシの腕から次第に力が抜けていくのを感じる。オビトは透き通った声で語り出したミナトの目をただ見つめている。

「……こんな状態を望んじゃいなかっただろう」

カカシはゆっくりとクナイを握った手を下ろした。

「死んだはずのオレがこうして君達の前に立っているのも、先生なんだからしっかりしろって、リンが言っているのかもね……

……リンを守れなくて、すまなかった。」

オビトとカカシは押し黙る。しかし、その静寂をオビトは破った。
大きく見開かれた双眸はただ頭上の月を見つめる。鎖羅はオビトの目の先に映る“彼女”の存在を静かにそれでいて確実に感じとっていた。


「リンは……リンはオレにとっての唯一の光明だった。リンを失った後、オレの見る世界は変わってしまった。真っ暗な地獄だ。この世界に希望はない。マダラに成り代わって世界を歩いたが……さらにそれを確信するだけだった。」

鎖羅の足が自然とオビトから遠のき、後ずさっていく。
彼は自分にとっての光明だった。だが、彼にとっての光明は自分ではなかった。
その事実だけが鎖羅の心に冷たく突きつけられる。

「俺もハッキリとは分からない……。俺だってこの世界が地獄だと感じたさ。お前を失って、リンを失って、ミナト先生までも……。
───でも、ハッキリとは分からないが、“眼”を凝らして見ようとはしてたんだ。お前がくれたこの写輪眼と言葉があれば、見える気が……してたんだよ。」

──それが、ナルトだってのか

ぼそりと呟かれた言葉は虚空に消える。


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