第20章 二十夜
「今だ!!」
ナルトはそう叫ぶと、尾に繋がった引き抜いたチャクラをオビトのものと噛み合わせる。
大樹の動きが止まる。
連合は次々と綱引き状態となった尾の傍へと降り立ち、ミナトが伸ばした九尾チャクラを掴んだ。
「……鎖羅、お前なんで泣いてんだ?」
「え……」
連合と共に集った暁に加わり、チャクラを引いていた鎖羅の双眸からは一筋の涙が流れていた。
あまりにも一瞬のことで、理解が出来なかった。
流れ込んできたこの悲しみと憎しみは間違いなく、オビトのもの。
生暖かい血に塗れて、滑る肌を抱くオビト。
のはらリン。それがオビトの全て。
鎖羅は精神世界で顔を覆って泣き崩れる。
ひとりだった。周りを見渡しても、誰もいなかった。
微かに感じ取れる懐かしい気配は、振り向いても消えて、それが誰であったかも思い出すことが出来ない。
気づけば暁の仲間たちと共に立っていた。
その先に見えるのは、オビト。
彼の後ろには、誰もいなかった。