第20章 二十夜
「鎖羅!右だ!」
後方からハシバミの声が響く。左に意識が向いていた鎖羅は体を右へと急旋回し、根に掴まれた前腕にチャクラを集めて肥大化させる。かなり持っていかれたが、鎖羅の元来のチャクラ量からしてまだ持ち堪えそうだ。
ハシバミは攻撃は完全に鎖羅たち構成員に任せ、チャクラを緻密に練って研ぎ澄ませる。
目は潰されたが、それ故に以前よりも更に集中できるため肉眼で見ているように周りの戦況を把握できた。
サクラと綱手が口寄せしたカツユが溶け、地面を覆って足元へと流れ出す。攻撃で吸われたチャクラがカツユの回復によって戻ってくる。
「……!」
「鎖羅、どうした?」
チャクラの乱れを感じたハシバミは足を止める。鎖羅は、戦場の先の先……遠い前線の方でナルトが呼んでいるように感じていた。
「……なんで」
そう呟くと、鎖羅はフッ、と姿を消す。
一瞬感知できなくなり戸惑ったが、鎖羅はどうやら二代目の瞬身で飛ばされたようだ。
「ここは……」
「鎖羅さん!」
ナルトと特に仲の良かった木の葉の忍達は、皆上空を見上げている。鎖羅に気づいたリーは直ぐに手を握り、飛び上がって行った仲間たちを追いかけた。