第3章 三夜
「ほらこれ、使ってみろ」
手渡されたのは、陶器のように白く、ひとつもヒビのないつるつるとした、冷たいがあまり重さを感じない武器。形は取っ手が着いていて、手のひらより少し長い棒状のものがそこから伸びている。初めて見た形だ。
鎖羅はサソリに促されたように、サソリの部屋の窓から外に向かって武器を構える。
「……………えっと、どうやって」
「あ?普通にチャクラ練ればいいんだよ」
取っ手を掴む手にチャクラを集中させる。すると、破裂音を立てて武器の先から何かが打ち出された。
「う、うわっ!」
「成功だな」
設計図を見せられ、説明される。
デイダラさんから譲ってもらったチャクラ最高伝導率を誇る粘土を使って部品を陶器の容量で焼き上げ、組み立てたようだ。
チャクラを練ると取っ手から武器へその力が直に伝わり、また取っ手から伸びる棒の内部は傀儡の仕込みの経験を生かして、伝わったチャクラを性質そのまま高速で打ち出す仕組みになっているらしい。
「つまりは、お前は水遁使いだから今みたいな水の玉がとてつもない高速で打ち出される訳だ。これが火遁や雷遁となると威力や形態も変わってくる。
しかもそいつは他の遁術の影響を受けない。水遁を打ち出したとしても雷遁で弱体化はされないぜ」
ゴトリ、と二丁机の上に置かれる。
「いっぱしの忍のくせに信じられないくらいチャクラコントロールがヘタクソみたいだからな。これ使えば戦いもマシなもんになるだろうよ」
「うっ……。ま、まあ下手ですけど……ありがとうございます」
「あ、鎖羅いるか?」
デイダラが部屋の入り口から鎖羅を呼びかける。
「これやるよ。オイラのポーチのスペア改造したもんだけど、ソイツ持ち運ぶのに必要だろ、うん?」
左右にホルスターが着いているベルトを受け取る。長さを調節して腰に装着し、ホルスターに武器を入れる。動きに支障はない。
「ありがとうございます!私これずっと大事にしますね!!」
「たまにメンテ出せよ」
サソリさんは薄く笑うと机に向かう。
腰にあるソレを撫でると、なんだかとても嬉しくなってくる。この二人に認めて貰えたような、そんな気がした。