第2章 二夜
隕石でも落ちたのか、というほど荒れた戦場で、一人の男は緑のマフラーを風になびかせながら瓦礫を飛び越えてはしゃいでいる。
「わははー、サソリさんも随分派手にやったなぁ!こりゃ指輪探すの大変そうだ」
伝えられた特徴通り、赤い髪を探すが、どこを見渡してもそのような残骸はない。いや、確かに血の跡は残っている。ゼツの言う通りサソリは死んだはずだ。
はーつかれた、と大きい瓦礫に腰をかけると、緑色の食虫植物のようなものが地面から生えてくる。
「トビ、なんでかわかんないけどサソリ生き返ってるよ……」
「オソラクアノ新入リノセイダロウ」
「えー!そんなのどうやって!」
「確かにサソリは死んだんだけど、もしかしたら一緒に任務行ってたデイダラと鎖羅があとから引き返したのかもね」
「禁術ダ、鎖羅ノ出身里ニハ全テヲ覆ス禁術ガ伝ワッテイル」
びゅう、と風が吹く。
今夜は三日月だ。月明かりも乏しく手元は暗くて見えない。
「やはり……、面白い……!鎖羅、お前はどこまでの夢を見せてくれるんだ… … ?」
橙色の渦を巻いた仮面の奥で、真紅の写輪眼が三日月のように弧を描く。それに呼応するように、月は僅かに赤みを帯びて厳かに光る。