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邯鄲の夢【NARUTO】

第20章 二十夜




互いの前腕が生暖かい感触に包まれる。
カカシの雷光を纏った右腕はオビトの胸を、オビトのチャクラ棒はカカシの右脇腹を貫いていた。

現実味のある感触に、今度こそ幻術ではないとカカシはクナイを握り直し、一瞬の痛みに顔を顰めながらオビトから離れる。
胸に空いた風穴とチャクラ棒、この戦いで勝敗は決められずとも、どちらが優位となったのかは歴然だった。

「終わりだよ……オビト」

「ハハハ……!!この戦いはお前の……勝ちでいい。だが……戦争の勝ちは譲らん!」

ボタボタと血溜まりを零しながらオビトはカカシの横を走り去っていった。
攻撃が来るかと身構えたカカシだが、目で追ったオビトは後方で横たわる鎖羅を小脇に抱えて時空の渦に飲み込まれた。


「鎖羅!」


──────────…………


「ッ!」

「ペイン……」

口寄せされた三竦みの付近で空を浮いていたペインは、僅かに目を見開いて鳥井に押さえつけられた十尾の頭を向く。
その様子を見た小南は、十尾の頭上に突如現れた黒い男が抱えた少女の上に力なく崩れ落ちるのを確認した。

「あれは……」

「鎖羅!」

サソリを鳥に乗せやってきたデイダラはスコープの倍率を上げる。

「トビだ!!」

「ぐあああ!!」

オビトは右半身から生え抜いたチャクラ棒の痛みに唸り声を上げた。次第に体のコントロールが効かなくなっていく。


………リン

体の下に倒れ、微かに息を立てる少女。
柔らかい腹を覆う布をギュッと握りしめ、オビトは印を結びながら大きくのけぞった。




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