第20章 二十夜
穢土転生体として駆けつけた火影達4人は、結界術・四赤陽陣により十尾を閉じ込めた。十本の尾が初代火影、柱間による明神門に押さえつけられて苦しそうに蠢いている。
「……サスケ」
「おや、なにやら一悶着ありそうですね。イタチさん、何か言葉ぐらいは交わしてやったらいいんじゃないですか?」
サスケが合流したナルト達の場所と、イタチら暁がいる場所はかなりの距離がある。しかし、同じうちはのチャクラを兄弟であるお互いが見過ごすはずがない。サスケは先程から向けられていた兄の視線に最初から気づいていたようにこちらに振り返る。
対カブト時、共闘した際にサスケは兄の死の真相を知った。……しかし、死して時間が経っているからだろうか、イタチはその死に様がどうにも思い出せなくなっていた。そしてそれはサスケも一緒であった。
何を言わずとも視線で、そのチャクラで、その血筋で、心が通じあっている。深夜のような濃紺のサスケの髪が振れた。2人とも、もう背負っているものはない。
「……いや、大丈夫だ。」
イタチのその満足そうな笑みに、鬼鮫は静かに視線を戻した。
柱間の分身が結界を開け、入口を作る。合図と同時に忍たちが十尾へ向かっていくと、押さえつけられた尾の先から同じ背丈ほどの十尾の分裂体が産み落とされた。
「ハッ!芸術的な見た目してんのが癪に障るぜ!うん!」
デイダラは発生源の尾の上空へ一気に近づき、十本それぞれ潰すように扇状に爆弾を落としていった。何体かは産まれる前に爆発に巻き込まれ死んでいく。それでも爆発のスピード以上に分裂体はどんどん増えていった。