第20章 二十夜
これだ、これを待っていたんだ。
マダラは瓦礫を軽々と飛び越え、壁になる忍を切り捨てながら進む。
この気持ち、自分がまさか忘れているはずがないのだ。
抑えきれない笑みを浮かべながら、彼の者を見下ろせる場所へと大きく跳躍し、団扇を地面へ突き立てた。
「待っていたぞォ!!柱間ァ!!!」
マダラの雄々しき呼びかけがまるで獅子の咆哮のように轟く。忍たちはその姿を一斉に視線にとらえ、言い表せぬ畏怖に鳥肌を立てた。
「お前は後!!まずは十尾を止める!!」
「…………」
数秒、獅子は押し黙る。
雄叫びが待ち望んだ戦友から返されることはなく、更に自らのも呆気なくかわされてしまった。
そうだ……そうだったな。
お前はいつだって自分の友であれ家族であれ、まずは民を率先する男だった。
「フッ……相変わらずな奴だ。やはりあいつとは噛み合わん……」
マダラは仕方なく、連合が十尾を退ける様子を見物でもして待ってやるかと団扇に寄りかかった。